第96回アカデミー賞レッドカーペット:ドレスに秘められたメッセージとは?

ファッションは単なる衣服ではなく、着る人の想いを伝えるための表現手段にもなりえます。映画の祭典であるアカデミー賞は、レッドカーペットでも、歴史に残るような「物語」を秘めたドレスが披露される場なのです。

2024年も多くのスターが、ただ美しいだけでなく、深い意味を込めたドレスを纏いました。たとえば、「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」で主演女優賞にノミネートされたリリー・グラッドストーンは、ネイティブアメリカンの血を引く女優として、衣装ブランド・グッチとコラボレーションし、先住民アーティストのジョ・ビッグマウンテン氏によってデザインされたドレスを着用しました。このドレスは、見た目だけでなく、彼女のルーツを表現する力強いメッセージを込めたものでした。

以下では、2024年のアカデミー賞で、ドレスに込められた「隠された意味」を纏ったスターたちをご紹介します。

1. リリー・グラッドストーン

「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」主演のリリー・グラッドストーンは、ネイティブアメリカンのルーツを称えるドレスを纏い、レッドカーペットに登場しました。彼女が着用したグッチのドレスは、モホーク族、クリー族、コマンチ族の血を引くアーティスト、ジョ・ビッグマウンテン氏とのコラボレーションで作られたものでした。ドレスには目に見える美しさだけではなく、彼女のアイデンティティーを表現するメッセージが込められていました。

2. キャリー・マリガン

モノクロームのドレスを好むことで知られる「マエストロ」主演のキャリー・マリガンは、今回もアカデミー賞で自身のファッションセンスを貫き、バレンシアガ オートクチュールを纏いました。このドレスは、なんと1951年のクリストバル・バレンシアガのアーカイブデザインを再現したものでした。興味深いことに、マリガンが演じたマエストロの主人公、レナード・バーンスタインと結婚したフェリシア・モンテアレグレも、この1951年に結婚したという設定なのです。歴史へのオマージュともいえるこのドレスは、過去のデザインが現代でも通用することを証明しました。

3. エマ・ストーン

主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが着用したミントグリーンのルイ・ヴィトンは、2023年公開の映画「プア・シングス」の主人公、型破りでファッショナブルなベラ・バクスターへのオマージュでした。ストーンのスタイリスト、ペトラ・フラネリー氏は、イギリス版Vogueのインタビューで「このドレスは、ストーンとベラというキャラクターの精神的なつながりを表現しています」と語りました。

4. アニャ・テイラー・ジョイ

ディオールのアンバサダーを務めるアニャ・テイラー・ジョイは、1949年にクリスチャン・ディオールが発表した「ジュノン」と「ヴィーナス」を彷彿させるドレスを纏いました。しかし、実はこのシルエットは、ジョイが初めて着たわけではありませんでした。ナタリー・ポートマンは、昨年のカンヌ国際映画祭で「メイ・ ديسمبر」のプロモーション時に、同様のデザインのドレスを着用しています。ポートマンのドレスはクラシックなクリノリンスカートを採用していましたが、ジョイのドレスはより動きやすくなっていました。

5. アリアナ・グランデ

ピンクが似合うことで知られるアリアナ・グランデですが、実は彼女が最近ピンクを好むのには別の理由もあります。グランデは、今年11月に公開予定の映画「ウィキッド」で、ピンクを愛するグリンダ役を演じる予定です。今回彼女が着用した、大ぶりのジャンバティスタ ヴァリ のドレスとカルティエのジュエリーは、まさに「ウィキッド」への布石と言えるでしょう。

まとめ

今年のアカデミー賞レッドカーペットは、単なるファッションショーではなく、ドレスに込められたメッセージが話題となりました。スターたちは、衣装を通して自分らしさを表現したり、映画へのオマージュを捧げたりと、レッドカーペットを新たなステージとして活用しているのです。